困難も打開する、十年の厚み。
10年前、蔵がある滋賀県高島産の山田錦と、吟吹雪でお酒を作る計画がありました。
しかし山田錦を作る農家さんが亡くなってしまったうえ、
残った山田錦も他の品種と間違って刈り取られるというハプニングが。
一方の吟吹雪にも台風による水害が襲い掛かり、収穫が危ぶまれる状態に。
農家さんが泥かきをして下さったことで、こちらは何とか収穫することができました。
問題は、残された吟吹雪をどうやって最高のお酒に仕上げるか。
そこで選択したのは、江戸時代の醸造方法である十水仕込み。
極端に少ない水で仕込むこの方法は、濃厚で爽やかという酒質を作り出しました。
萩乃露、雨垂れ石を穿つの誕生です。
それから毎年この酒は造り続けられ、蔵を代表するお酒に。
そして10年目、地元の農家さんの協力を得ることができ、
念願かなって高島産の山田錦が手に入ったのです。
そしてできたのがこの雨垂れ石を穿つ…。
コツコツとした積み重ねが、大きなストーリーを紡ぎだす。
ひたむきの大切さをこのお酒は教えてくれます。