2019.9.11

日本一の酒米、山田錦が育つ場所で見たもの。

フランスのワイナリーに行くと、まず畑の葡萄を紹介されます。理由は簡単、ワインは農作物だから。土壌のこと、日照時間、なぜここで葡萄を栽培するのか。彼らの話を聞いていると、ワインがアルコール飲料だということを忘れてしまうほど。

大阪から車で約1時間半、兵庫県の中央部に日本が世界に誇る山田錦の故郷があります。豊かな水と、澄んだ空と、周りの山々。それらが刻々と変化し季節を教えてくれる。そんな日々のささやかな感動がある場所は日本酒の魅力を世界に発信する原点。

小さな苗が、夏を迎え大きく成長していく姿を見ながら、「なぜこの場所で山田錦が栽培されてきたのか、晩稲の米であること、日照時間や寒暖差」農家の方の言葉が、魅力に磨きをかけていく。

田んぼ一面を望める高台には、小さなお社とアニメ映画に登場するような鳥居。この土地の人たちが、豊かな収穫を望んでつくられたお社。神様のいる場所で育てられたお米を、微生物の力でお酒に変えていく。数千年以上続く、私たちが誇る日本酒という文化。ワイナリーに勝るとも劣らない魅力は、ローカルで生まれている。

気づくことを目的とするのが「旅」なら、「旅行」は現実逃避。誰かが言ったそんな言葉を思い出しながら、この土地をどんどん好きになっていく。
旅するように、お酒を飲む。そう考えると、またひとつお酒の魅力が増えたような気がする。