2021.3.17

焼き物の町から「古伊万里」をつくる古伊万里酒造、蔵元の手

「僕の手なんて何も特徴ないですよ!」

不思議そうに照れながらも、
前田さんの人柄が溢れる。

綺麗に掃除された真っ白な壁を背景に、
どこかこだわりと、九州男児の厚みを感じる手。

「伊万里焼き」
誰もが一度は耳にしたことがある有名な焼き物の名前。

佐賀県といえばの焼き物として常識のこの名前に、
「古」が付いているのが、この古伊万里酒造だ。

「お酒の“環境”を整えてあげることが、僕たちにとって一番大切にしていることです。」

酒造りより前に、蔵全体が綺麗に掃除されていることが重要で、
お酒にとって人間がとってできることは、変に触ったり、確認したりすることではなく、
そのお酒にとって住みやすい環境であるかどうか、
究極、それだけでいい。

どこを見てもピカピカに拭き上げられた蔵内だからこそ、
この言葉がより意味のある言葉として繋がっていく。

“誰に古伊万里を伝えたいか”
という質問に対しては、

「より多くの人にというのはもちろんだが、
それよりもうちの蔵のことをイイなと思ってくれる、
そんな人たちを増やしてつながっていきたい。」

誰でもいい、なんて思っていないのは、
今の時代では、当たり前かもしれない。

でも、本当に本心から思っているからこそ
こうしてお話の中で出て来たときに、
いつも心に想うことであり、大事にしていることなんだと、
改めて気づかされる。

お酒づくりは、
自然に逆らわず、周りを整え、育む。

志は、
自分が世界に届けたいお酒を作り続け、
飾らず、真面目に。

そんな造り方と、志は
そのまま、お酒の味わいにも表れている。

古伊万里酒造 蔵人
前田 悟