2021.3.31
- 【裏話と、】
池田酒、呉春を訪ねて。
阪急池田駅から五月山の方角。
駅前の商店街と並行して走る道路を抜け、
古い町並みの中を進む。
駅から歩けば、10分足らずだろうか、
右手に酒蔵呉春の立派な建物が見えてくる。
今日の目的は呉春普通酒の受け取り。
その門をくぐる。
すると突然空気が変わることに気付く。
神社の境内のような、透明感のある澄んだ空気。
そして漂うお酒の甘い香りで、酒蔵に来たことを実感する。
左手にある事務に入り、お金を渡すと注文のケース数、
“5”と記載された札を渡される。
そして蔵の奥に足を進め、瓶詰めの部屋に入る。
もらった札を蔵人さんに渡し、
今まさに瓶詰めされたばかりの呉春本丸を受け取る。
お酒は火入れしたばかりなのだろう、
瓶を触るとじんわり熱を感じる。
今この状態で呑みたい。
そんな気持ちが猛烈にわいてくるが、
ぐっとこらえてケースに入ったお酒をを軽トラックに運び込む。
その時、蔵の方がいらしゃったので、
建物の写真を撮っていいかと尋ねると、快く了承してくれた。
そして、葺き替えたばかりの瓦の話や、ホーロー看板のこと、
門の横にある、柵の一本一本が六角形になっているのは、
今では珍しいという話をしてくださる。
六角形になっているのは、松明を持って市中を練り歩く、がんがら火祭りの際に、
人が当たっても大丈夫なようにであったり、
鹿の角が当たっても傷がつかないようにという機能があるとのこと。
江戸時代中期から続いてきた呉春。
ともすると見逃してしまいそうなところにも、
歴史があることに感心しながら帰路に就く。
自社の倉庫に着いて、お酒を軽トラックから降ろす。
まだ瓶にぬくもりがあった。
火入れしたてのお酒をその場で飲めないのは残念だが、
後日呑んだ呉春の味も、
とびっきりだったのは言わずもがなである。