2021.9.3

深川醗酵所ができるまで。

2021年8月24日。

東京メトロ、門前仲町の駅から降りて少し歩いたところ
道路沿いに店がずらりと並ぶ通りに「深川醗酵所」はオープンした。

京都のある梅小路醗酵所を見て、
「深川醗酵所をやりたい」

そう声をかけてくださったのは、
海外へお酒を輸出する「海琳堂」。

海琳堂さんが決めたこのオープン日8/24は、“愛酒の日”。
由来は、酒をこよなく愛した歌人・若山牧水の1885年の誕生日で
「白玉の歯にしみとほる秋の夜の 酒はしづかに飲むべかりけり」と歌で詠むほどだったとか。

ちょっと素敵なストーリーに聞こえるのは、ずるいな〜と思いながらも、
海琳堂さんがこのお店へ想いを込めたことの一つなのだろうと思う。

1階は酒屋のスタイルをスタンダートに入れた形。
お酒を買う喜びを楽しんでもらえる空間。

しかしこれだけでは普通の酒屋と変わらない。

梅小路醗酵所には「麹室がある酒屋」であるのに対して、
深川醗酵所にもお酒との繋がりのある業態を提案したい。

その想いと計画から深川醗酵所は、お酒を買うだけでなく
自分たちが製造したおつまみをテイクアウトできる、
いわゆる「デリ」に挑戦しているのが、最大の魅力だ。

毎日少しずつメニューを変えながら
お酒がずらりと並ぶ売り場のすぐ近くに、
人の手で丁寧に作った酒の肴を並べる。
これ以上にしずる感のある演出があるだろうか。

この贅沢な空間も是非、多くの方に楽しんでもらいたい。

お酒やデリ以外にも、醗酵にまつわる空気の演出の源は他にもある。

4Lの保存瓶に入れられた、ピクルスやフルーツビネガー、シロップは
まさに、熟成中(発酵中)。

パクチーを利かせ、料理との組み合わせを考え抜かれた
パクチー醤油。

お酒が飲めない人でも楽しんでもらえるようにと
体に優しいノンアルコールの瓶ジュース。

お酒だけではないけれど、お酒の「醗酵」と同じ
美味しくて健康で、優しい。
のコンセプトは常に変わらない。

1階の世界観をたっぷり堪能した後は、
少し急な階段を登って2階に上がる。

右手のガラス戸に「深川醗酵BAR」の文字。
息を飲むようなしっとり感。
BARの色気が扉を開ける前から伝わってくる。

扉を開けると、Tama Atelierの玉山さんが作った器がずらりと並ぶ。
黒にゴールドのラメが混ざったもの、ターコイズや、日本の和の色である桜色のものなど
色の質感も陶器ならではの雰囲気。

そのバーカウンターに並ぶのは、
住吉酒販さんの商品「イロハニ枡」。

酒屋のBARであることをこの枡がいることによって、
原点に戻ってこれる、そんな雰囲気がある。

2階は、コロナウィルスが流行する2021年で
なかなか稼働する日はまだ先の話かもしれない。

でもいつか、私たちもお酒を楽しく飲める日がやってくる
そう信じながらも。
2階の活用方法もBARだけでない、
違う角度で考えてみる。

これからも深川醗酵所は、どんどん醗酵していきます。