2026.10.22
- 【旅と、】
郡山城下、中谷酒造での酒造り体験に向かう。
9月26日、JR大和路線に乗って、郡山駅を目指す。
目的は、中谷酒造での酒造り体験。
私が酒屋で働いていることを知った方に、「それなら実際に作ってみる体験は役に立つよ」と、アドバイスをいただき、参加することに決めた。
郡山駅の近くまで来ると、車窓から見えるのは、郡山城跡。
あいにく天気は曇り空だが、立派な石垣や追手門、櫓が見える。
郡山城は、豊臣秀吉の弟、秀長が入った城。
彼の時代に、街の整備拡張がなされ、今の姿の原型となったもよう。
今も、城下町のなごりが残っている。

郡山は、全国的に有名な金魚の産地でもある。
そのためなのだろう、街のいたるところに金魚鉢が飾られていた。
金魚が優雅に泳いでいて、風情がある。
そんな空間を楽しみながら進んでいると、中谷酒造 柳町醸造所に到着。
挨拶をした後、受付を済ませる。
今回の参加者は私を含めて10名。
私は25歳で、最年少。性別に偏りはなく30代40代の方が多い印象だった。
まずは、講師から衛生面や安全面での注意事項を確認。
その後、エプロン・部屋キャップ・手袋を装着し、製造室に向かう。
いよいよお酒造りだと思うと、心がソワソワとする。
お酒造りは、麹菌や酵母菌など微生物の力を使い、時間をかけて発酵させるので、すぐにお酒ができるという訳ではない。
ただ、主要な工程を体験できるということだった。
部屋に着くと、まずは米の計量、それを水に浸す、浸漬という作業の体験。
高精米のお米を使う場合は、秒単位で行うというから凄い世界だ。
次の工程は、蒸しの作業。
蒸し器に火を入れると、モクモクと蒸気が上がる。
次は、蒸しあがるまでの約1時間を使い、
中谷酒造の歴史や、酒造りの手法、歴史についてのレクチャーを受ける。
昔貯蔵に使われていたという、口の直径が1メートルくらいある甕(カメ)も拝見させてもらった。
普段、大きくても花瓶くらいしか目にしない私にとって、それは異次元の大きさの焼き物であり、印象に深く残った。
相当大きな窯がないと作ることができないはずだ。
「そろそろ蒸しあがるので」という声を合図に、蒸し器のある部屋に戻る。
そして蒸しあがったお米を台に乗せ換えたなら、熱を取るため手で混ぜながら熱を取る。
これがものすごく熱い。
そして、実際に触ってみると意外とパラパラしている。
次の工程は、蒸した米に、麹菌を振りかけて、酒米に定着させる。
この麹菌がうまく育つよう蒸米の状態は、外硬内柔が良いそう。
外が硬くてパラパラしているのは、正解ということだ。
講師の勧めがあったので、麹菌そのものを食べてみる。
ナッツや麦のような香ばしさがあった。
どう味わいに影響するのか楽しみでもある。
次は、ブクブクと活動している醪(もろみ)の入ったタンクをかき混ぜる作業に移る。
その際、間近で醪を見たが、「沸騰してるんか?マグマ?」と思ってしまうほど、すごい勢いで泡を出し続けている。
酵母菌の活動でできた二酸化炭素らしいのだが、それにしても活発すぎやしないかと驚いた。
この工程をもって一旦実技は終了となった。
だが、これで体験は終わらなかった。

用意してくれた食事と、中谷酒造の大吟醸、純米大吟醸、5年ものの古酒を合わせてみようという体験もさせてくれた。
印象に残ったのは、講師に勧められた、ローストビーフと、古酒の組み合わせ。
私は、そもそも古酒の後に残る香りが苦手だったので、あまり乗り気ではなかったのだが、一緒に合わせて食べてみると、驚くほど美味しかった。
肉の味や脂と、古酒の旨味が一体となる感覚。
不思議なことに香りは、全く気にならなかった。
帰り道はせっかくなので、郡山城後まで足を運び、行きと同じく大和路線を使って帰路に就く。
帰り道では、石川雅之の著作の漫画、もやしもんで知った知識が、実体験を通しすことで、より理解が深まったことを思う。
そして、苦手としていた古酒の魅力にも気付けたことも嬉しく思った。
郡山での1日は、ともても有意義なものとなった。



