2021.9.30

低アルコールと、お酒の先輩。

日本酒のアルコール度数は、
16、17度くらいが一般的だ。

しかし、最近ではアルコール度数が、9度や13度の日本酒も
チラホラ見かけるようになった。
また、ソーダで割ったり、
氷を入れて飲むことを推奨しているものもある。

焼酎にしても、20度、25度が一般的だが、
14度で売り出されているものがあったりする。

なぜ低アルコール商品が出だしてきたのだろうか?
自分なりに考えてみると、2つの理由があるように思う。

1つ目は純粋に味わいに与える影響だろう。

アルコール度数を抑えれば、
香りが変わるし、飲みクチも変わる。
アルコールのガツンとした印象がやわらぎ、飲みやすくなる。

もう1つはほろ酔い需要だと思う。
お酒は楽しみたいけど、過度に酔っ払いたくない。
だから低アルコールのお酒がちょうどいい。
そんな具合だ。

勝手な現状分析だが、
これは大きく間違っていないと思う。

実際に、写真のブルーのボトル、二兎サテン13度を作っていらっしゃる、
丸石醸造さまに話を伺ったところ、こんな意見をいただいた。

「私達のお酒は、一日で飲みきってもらうことを理想としているので、
味わいはそのままで、度数を抑えたお酒をつくりました」とのこと。

また、普段ワインを飲まれる海外のお客さまへのアプローチでもあるとのこと。

ワインで一般的な13度に近づけることで、
より幅広いお客さまに楽しんでいただきたいという想いがあったのだ。

納得である。

 

加えて、ほろ酔い需要についても考えてみる。
なぜ、酔っぱらいたくないという人が増えたのだろう。

中でも、若い世代のお酒離れが顕著だという。

個人的な経験だが、飲み屋にいても

ほとんどお酒を飲まない人が目に付いたりする。

もちろん、お酒は無理に飲むものでも飲まされるものない。

それに今は、スマホ1つで何でもできる時代。
お酒を飲む以外にも楽しいことがたくさんあるのかもしれない。
それは理解できるし、ある意味仕方のないことだ。

さらに掘り下げていくと、
お酒で失敗したくないとか、
飲み会が無駄に思えるから、
といった理由も中にはあるようだ。

この点に関しては、
先にお酒に触れてきた、先輩の影響が大きのではないだろうか。

身近にカッコよくお酒を飲む人いれば、憧れも生まれるだろう。
逆に、お酒で失敗ばかりしている人がいれば、ああはなるまいと思うだろう。

お酒を飲む席が純粋に楽しければ、お酒は進むだろう。
逆に、酒を飲む会が楽しくなければ、そこに近づこうとはしないだろう。

思えば、私のお酒の先輩は楽しく飲む人ばかりだ。
もちろん少しも失敗していない人などいないのだが、
カッコいい人が多い。

そんな人達がいたから、良い想い出もたくさんできた。

そう考えると今更ではあるが、
一人の酒屋スタッフとして、
誰が認めてくれるかは知らないが、
一人の酒のみの先輩として、
飲み方は考えないといけないのかなと思う。

先輩たちのように、
カッコよく飲めるようになれるかは分からない。
ただ、コロナが落ち着いた後、誰かと杯を交わす時は、
ますます楽しく飲もうと密かに誓う。

きっとその積み重ねが、
連綿と続いてきた、
お酒業界やお酒文化のためになると思うから。