2021.3.23

茅葺き屋根に魅せられて。「鍋島」をつくる富久千代酒造、酒蔵オーベルジュにかける想い。

佐賀県は鹿島市にある酒蔵通りの伝統的な建物が保存されている街並みの中、
茅葺き屋根の建物に「鍋島」と大きく掲げられていました。

入る前からドキドキする。こんなに綺麗な茅葺き屋根を近くで見たことがない。
まるで切りたてのおかっぱ髪のようでした。

3/12(金)にオープンした「御宿 富久千代」のプレオープンに
お招きいただき、ご夕食をいただきました。

屋内へ案内されると、内側からも圧巻の屋根…
そして内庭の見れる客室があり、その先細い廊下を抜けると、
カウンター式のこれまたおお振りな一枚板のテーブルへご案内いただいた…

新鮮かつなんだか懐かしいような空間を
しっかりと魅せられ、なんだかすでにウットリ気分へ。

富久千代酒造 杜氏 飯森さんは、佐賀の焼き物、
全国から取り寄せたガラス細工のカップ、そこに注がれる
鍋島のお酒について、ひとつひとつ手に取りながらお話いただきました。

手に触れるもの、眼に入るもの、口で感じるもの。
すべてが心地よい空間。仕事を忘れついつい落ち着いてしまいます。

そこへ、好青年の若き料理長が登場。
眼の前で調理していただくのを、まじまじ観察し撮影していると
「緊張します。」とパパラッチが如く
圧をかけてしまいました。(申し訳ありません)

「シャッターチャンスですよ!」と飯森さんにおっしゃっていただき
素敵な写真(自画自賛)がたくさん撮れました。

色とりどりの器とともに並ぶ、佐賀県特産の料理たち。
佐賀牛、クエ、アスパラ、そして焼き物…
佐賀を感じながら進むお料理はまた格別。

“お米”のアイスには、下に「鍋島 甘口 純米酒」のゼリーが敷かれ、
お米の甘さをふんだんに味わえる一品。
口の中でスムーズに溶けていく二つが、
とてつもなく美味しい…

「美味しすぎる…」と絶句していると、
「よろしければ、おかわりも…」と料理長。
ついつい頂いてしまいました。

鍋島に合う料理のフルコースをいただくと同時に
酒番の多田さんは「心地いい温度」をお料理に合わせご提供いただく。

さらには佐賀牛のメインに合わせる時には
「今回ははお料理を楽しんでいただくため、お酒は一度お休みいたします。」
と、粋な計らい。一度引くことでインパクトを残す。

流れまで心地いい計らいに、思わずお酒が止まらない…

人々の愛がつむがれたフルコースは、想いが重なるアンサンブルのよう。

料理長に、「鍋島」の日本酒をフルコースに合わせる時大変ではなかったですか?
とお聞きすると、

「鍋島の底力の凄さがあったからこそ、自分の料理作りに集中できました。」
とおっしゃっていました。

鍋島の酒造りが行われる蔵内へご見学させて頂いた時、
こんな問いかけをしました。

「なぜこんなに素敵な会議室なのでしょうか。」

酒蔵内に佇む会議室には、一枚板の長い机が置かれていました。

「蔵の人々にも、常にいいものを感じてもらいたい。」
そう語るのは、富久千代酒造 代表取締役 飯森さん。

酒造りの創造力を感じるには、洗礼された環境に身を置き
その魅力を吸収していくことも富久千代酒造の蔵人たちの
生活の一部なのだと知ることができました。

お酒に対する信頼感、サービスの連携、そんな全てが
「御宿 富久千代」富久千代酒造様の底力なんだとひしひしと感じました。

いつかあの茅葺き屋根へ宿泊したいな…
後ろ髪引かれるような、そんな体験でした。