2022.7.30

不必要なもの。

粕(かす)は、原料となる液体や固体などから目的の成分を取り除いた後に残る不純物やあまりの部分。
転じて、良い部分を取り去って後に残った不用の部分。

日本酒を製造するときは、
初めから透明な清酒ができるのではなく、白く濁ったもろみを濾して搾ることで、初めて日本酒となります。
そして、その濾した後に残るのが「酒粕」と呼ばれる白い固形物。

酒粕は、豆乳を作るときのおからやコーヒーを入れた後のコーヒー豆のような、
いわゆる日本酒を作るときにおまけで出来る副産物。
新酒の時期はたくさん酒粕が生まれるため、酒蔵さんによっては小包装にして販売したり、時には廃棄してしまうことも。

そんな酒粕ですが
酒高蔵には、毎年様々な酒蔵さんが余ったものを送ってくれます。
送っていただいたものは大切に酒高蔵やCOVO、コメノハナで使わせていただいてますが
今回、そんな「副産物」や「廃棄」に着目したとあるプレゼンをさせていただきました。
場所は南森町の糀(コメノハナ)。

概要としては地方の食材やお酒を地方の工芸品と組み合わせて提供するという試みでしたが、
「副産物」や「廃棄」のフードロスにも言及するという大きなテーマがありました。
使用するランチョンシートの構想と企画、デザインを考える中でいつも大体思うのは、
(…失敗したくない。何としても文句の言われないものを作ってやりたい。)
そんな気持ち。

当たり前といえば当たり前ですが
誰だって失敗、したくない。

時間のない中で、
エンタメ要素も入れつつ(これは自分の変なこだわりで、お楽しみ要素がないと意味がないと思っている…。)
料理と工芸を組み合わせるのはすごく大変でしたが、なんとか完成させることができました。

そんな中で、乾シェフが考えてくれた鱧が乗った酒粕のビシソワーズは、
「酒粕」の独特な風味が存分に感じられて、
他の材料では決して味わえないスープだったな。と印象的でした。

プレゼンの中では、酒粕はもはやカスじゃない。そんな話の流れでしたが
カスと言われるものが、
他のものでは”代用できない”
大切な食材になり得ることを証明できたいい機会だったと思います。

これは、酒粕が
「カス」であるからこそ、価値がある。
私はそう感じました。

ただ「美味しい」だけじゃもう古い。
「不必要」とされたものが大切な食材になる。

自分には不必要だと思っていたものや経験が、
実は大事だったと後から気付く。

今回の酒粕の話はただフードロス問題を解決する手段ではなく、
様々なものに通ずる価値観かもしれません。
たとえ失敗したとしてもそのカスから学ぶことで、大切な経験になる。
そう考えると失敗が少しだけ怖くなくなるような気がしました。

何かに失敗した経験は、実は美味しい酒を生み出す大事な粕かもしれない。

そう思うともっと人生の「カス」を大事にしてもいいのかも。なんて考える私なのでした。