2018.9.28

老舗蔵の若き挑戦者「手取川」をつくる吉田酒造、蔵元の手

『便利な世の中で、未来を見ることにした』

佇まいがシュッとしている、いわゆるイケメン。
最近ご結婚されたばかりだという、専務吉田泰之さん。

石川県白山市を流れ日本海へ注ぐ、一級河川。
創業148年からなる吉田酒造のお酒は、ずっとずっと“手取川”の水。

『地元のお米だけを使うことは、地元を守ることになる。
酵母以外は無添加・無農薬のお米にし、まずアル添をやめようかなと考えています。』

そんな風に思ったのは、アウトドアブランド『パタゴニア』の姿勢や活動に共鳴したのだそう。
造り手として、大地、醗酵のエネルギーを自然のまま形にする事、
自然のサイクルで育ったものは力強く、綺麗に老いていく事。
簡単ではない事が伺えるけれど、まっすぐな姿勢からそれ以上に強い信念が伝わる。

日本酒業界にいる人なら、誰でも知っているであろう『全国新酒鑑評会』について。
明治時代より始まり、酒造りの技術向上のため、時代と共に変化をしながら個々の製造者に対して専門家の評価を示すもの。

吉田さんは新たな改革を始めている。
好きなものが人それぞれに違うように、おいしいお酒を図るものさしも一つじゃない。
ストーリーやバックグラウンドも伝えていきたいのだという。

とても納得。
どんなお米をつかっていて、磨きはどれくらい?
それもとても大切。

でも、誰とどこで何時に飲むか。
一人で飲むのと、仲間たちと飲むのとは違う。
部屋か外か、昼間か夜か。
その違いって、味わいも変えるんではないかと思う。
そんなものさしも、とても大切なんではないかと感じる。


製造部の小西谷さん。

穏やかな話し方に、笑顔が混じる柔らかな表情で、優しさが溢れる印象を受けた。
同じく優しい人たちが自然に集まってくるような雰囲気がする。

そんな風に感じながら手のひらを拝見すると、その反面どっしりと厚く、短い指。
力強い生命を感じる職人の手。

──────盛り上げ役、ペットのような優しい酒。──────

吉田酒造のお酒はごく近くに寄り添い、心を温かくしてくれる。
蔵人たちがそうだからなんだと思う。

吉田酒造店 蔵人
吉田 泰之
小西谷 徹