2020.3.16

お酒が先か。吉野が先か。

奈良県は吉野町に在る、美吉野醸造株式会社さんのもとへ 酒蔵見学をさせていただきました。

「1つしかないストライクの味を目指すのではなく、 吉野の土地で生まれた雰囲気を感じるお酒。」

杜氏、橋本さんの心揺さぶられた言葉のひとつでした。

酒づくりにおいて正解の味を目指すのではなく、 吉野の環境でできる「ぽさ」を生み出す。

「花巴」は多種多様の味わいが存在していて、

また同じ銘柄でありながらも 作るときの温度や湿度でも味わいが変わります。

そんな“変化”を恐れないわけには、 吉野で酒づくりをする想いがつまっていました。

 

 


その想いを知るために、私たちはまず酒蔵見学、、、ではなく、

酒蔵より西にある山へ迎いました。

100年以上にもなる吉野杉の年輪は、

黒・白・赤色に細かな年輪が綺麗にびっしり並んでいます。

吉野杉を使用している酒樽は、赤と白の部分「甲付」を使用するため外側は白、内側は赤色。

これはアルコールを通さない性質があるんだそう。

さらに、多湿かつ寒暖差の激しい吉野に合った吉野杉で作られた酒樽となれば、

美吉野醸造の酒造りにかかせません。

 

吉野杉は伐採するまで100年以上、

選ばれし吉野杉のみが残り市場に卸されます。

選ばれる杉は植えてみないと分からない。

その結果は100年以上も先になります。

 

「それほどの樽造りの長い期間に対し、

お酒づくりは一年後に結果が出ます。」

吉野の環境の変化によって

試行錯誤し酒造りを“変化”させていくこと。

それは吉野の「樽造り」の100年という時間を重ねること。

これが美吉野酒造が得た感覚なのかも知れません。

吉野の環境に合わせて共に歩んだお酒。

杜氏の橋本さんが試行錯誤してきたストーリーを背景にすると、

「花巴」の、香り・味わい・色味、、、

お酒から感じられる五感だけでは物足りない。

吉野とともに変化するこのお酒は、

人のこころを掴んで離さないのだろう。