2019.9.4

在来線の旅、名物・軍鶏鍋を地酒と共に

9月初旬
雨模様が続く合間の秋晴れの日。
電車に揺られ、向かうは滋賀県。

いつもより少し足を伸ばすだけで違った景色を見ることができる。
特別なことはしていないのに、贅沢な気持ちにさせてくれるのが電車の旅のいいところ。

ご縁があってお邪魔する琵琶湖の西側には、近江最古の神社『白髭神社』があることでも知られる歴史的な地。

水中に鳥居がそびえたつ様を車内から拝めるかもしれないとなれば、どうしても見たくなるのが人の性。
シャッターチャンスを狙い、ワクワクしながら窓側へとスタンバイします。

しかし、強い耳の圧迫感と共に飛び込んできたのは、鳥居でも湖面でもなく窓に映る自分の姿。

なんで、このタイミングで、、、。

と思ったのは、きっと私だけではないはず。
長い長いトンネルを抜け、再び太陽の光が差し込むころには湖は遠くへ。
「鳥居を拝みたければ、楽をしようとせずに自分で足を運びなさい」とどこからか言われているような気がしました。

大阪から約1時間半。
降り立ったのは、静寂に包まれる近江高島駅。

どこまでも続く線路。
この景色を独り占めしている作業員さんに羨ましさを抱きながらも、足早に清酒『萩乃露』でおなじみの福井弥平商店さんへ。

蔵構えは歴史的でありながらも、優しい空気感が漂う。

一歩足を踏み入れれば感じる神聖な空気。
扉を開けると目に飛び込んできたのは、ずらりと並ぶ日本酒の瓶とぐいのみたち。

圧倒される数のお酒は、定番商品から季節商品、
さらには未発売のものまで、ざっと60種類ほど。

違った味わい、香りを噛み締めていく時間。

贅沢。

『酔う為の酒でなく、味わう為の酒を』
この地で良質な水と米を使って酒を醸す。
その信条が、ひとつひとつのお酒から伝わってきました。

旅の締めくくりは、軍鶏鍋が美味しいと評判の料理旅館で。
はやる気持ちを押さえ、名物と一緒に頂くお酒はもちろん、福井弥平商店さんのお酒たち。

こりこりした食感、濃い味わいの新鮮な軍鶏を
お刺身、水炊き、すき焼きの順で、余すところなく味わう時間。

贅沢。

その地でしか味わえないものを、その地で生まれたお酒と共に。
旅の醍醐味を改めて感じさせてくれた滋賀県近江高島。

必ず、またこの地に足を運ぼう。
そう思わせてくれた旅なのでした。