2022.8.29

酒好き妖怪「酒吞童子」

むかしむかし、京の丹波の大江山に酒呑童子という鬼がすんでおり、
夜になると都を襲い、女たちをさらっていきました。

そのため都の者たちは、源頼光をはじめとする豪傑たちを大江山に送りました。

一行は丹波へ向かう途中、岩穴の中に三人の老人と出会い、鬼が飲むと力を失う酒をもらいます。

鬼の館へ近づくと、さらわれた娘の一人が川で洗濯物をしている最中でした。
娘によると「酒呑童子は、昼間は人間の姿をしており、夜になるとおぞましい鬼の姿に変わる」と言います。

道に迷ったふりをして鬼の館へ入り奥へ進むと、人間の姿で酒吞童子が鎮座していました。
頼光たちは酒呑童子に「酒盛りをしよう」と老人たちからもらった酒を勧めました。
酔いが回った酒吞童子はやがて上機嫌で寝間に去っていきました。

頼光たちが寝間へふみこむと、鬼はとてつもなく大きな図体となり、角を生やし、真っ赤な形相で寝たくれていました。

頼光たちが打ちかかろうとした途端、岩穴で出会った三人の老人が姿を現しこう言いました。

「わしらが鬼の手足を柱に結び付けよう。その上で頼光が首をはね、他の者たちは体を切り刻むがよい」

「かたじけない」と、頼光が首をはねた途端、酒呑童子の首は天空に舞い上がり、
口をかっと開いて牙をむき出し皆に襲い掛かりました。ですがすぐに力尽きると、息絶えてしまいました。

そうして、頼光たちはさらわれた女たちと都へ戻り、都が脅かされることはなくなりました。

([京の絵本]刊行委員会「酒呑童子」 より一部抜粋)


本店・酒高蔵にある酒屋図書館の8月のテーマは”お盆”。
それに合わせて和を感じられるな本を飾りました。

そのなかでひと際目を引いた一冊の絵本。
タイトルは「酒呑童子(しゅてんどうじ)」
表紙いっぱいにある酒呑童子の仰々しい顔は、小さい子が泣いてしまいそうな迫力です。

(妖怪好きの私はその存在を知っており、モチーフにしていイラストを書いたこともありました↓)

酒呑童子は鬼の名前で、酒好きなことから配下たちにこう呼ばれていたのだとか。

三大妖怪が「酒呑童子・玉藻前・大嶽丸」とされているほど、超有名な大妖怪です。

 

上記の物語以外に酒呑童子にまつわるいろんな説があります。

・酒呑童子は母親の胎内に16ヶ月いて、生まれると同時に5、6歳なみの子どものように話し、歩くことができた(こわすぎる)

・元は美しい少年で、女性たちから思いを寄せられ恋文をもらっていたが全て燃やしていた。そうとも知らない女性たちの恋心は高まるばかり。無下にされ続けた女性たちは激怒し、恨みは増幅して怨念となり、少年を鬼に変貌させてしまった。(まさかのモテモテ美少年)

最期は酒好きがあだになったという始末。お酒好きな方なら一度はあるであろう失敗に既視感を感じます…

ファンタジー、空想上の生き物好きな私の、改めようとも思った妖怪紹介でした。

【プチお知らせ】
今回から酒屋図書の月テーマpopを手書きにしてみました!
8月のテーマに合わせて上記イラストのような和テイストです。
ぜひチェックしてみてください📚