2021.4.2

旬の食材と、発酵と、料理人の経験と。

3月中旬、まだ桜のつぼみがまだ固いころ、南森町の糀でランチをいただいた。

献立は、合計7品目。

蒸し野菜、塩麹ゴマダレ。
こうじ漬けらっきょタルタルソースで食べる、カキフライ、アジフライ。
麹を使った鳥キノコグラタン。
ナスのぬか漬け。
クリームチーズとおからで作る和テリーヌ。
粕汁。
玄米+十穀米のおにぎり。

どの料理からも、仕事の分厚さを感じる。
全ての料理に発酵食材を取り入れつつなのだが、
押しつけがましいわけではなく、ちょうどいい塩梅。
ダシや麹の旨味で調和がとれており、優しい味わいとなっているため、
箸がスイスイ進む。

サクリとした衣からトロリした顔をみせるカキフライと、
ラッキョのタルタルソースの相性は、あぶない刑事のタカとユージ並みに抜群。

食道を通るかす汁は、じんわりと体を温めてくれ、自然と息が漏れる。

蒸し野菜に、旬のタケノコや、菜の花が入っているのも、季節を感じられて嬉しい。

もちろん、ダシとチーズの風味がきいた和テリーヌや、麹で味が整えられたグラタン、自家製のぬか漬けにいたるまで、どの料理に箸を運んでも、美味しいという結果は約束されていた。

 

食事をしながら、料理人の乾さんと話すと、
ぬか漬けの話題から、ぬか床がいたみそうになったら、
辛子や塩で整えるといったことを教えてくれる。
続いてタケノコの話題から、今年は暖かいから、市場には春物は全部出てるという話をしてくれた。

料理について、あらゆることがお見通しなのがビシビシ伝わってくる。

こういうのを経験の力というのだろう。

毎日お酒を補充しに、お店を訪れるからよく分かるのだけれど、
連日満席が続く理由は、こういうところにもあるのだと思う。

 

※この撮影時は、常連のお客さまに頼まれて、入社式の後に召し上がっていただく為のお弁当13人前を、特別に作っていました。