2020.1.23

日本酒で感じる少し大人な時間 -小左衛門 コシヒカリ しぼりたて-

日本酒、というと使用するお米は基本的には「酒米」です。

最も身近な酒米と言えば、王様「山田錦」ですね。特に兵庫県・東条の山田錦は特A山田錦と呼ばれています。

さて、ではお米はお米でも、食べるお米「食用米」で王様といえば…
そうです、【コシヒカリ】です。

食べ応えがあり、ふっくらした口当たり、風味も感じられます。
今回ご紹介したいお酒は、食用米コシヒカリで醸された【小左衛門・コシヒカリ生酒】
です。

さてさて、どんなお酒か…開栓するとなんと個性的か!素晴らしく尖っていらっしゃいます。
苦味が目立つ味わい。それだけではなく、米のシンプルなグルコース由来の甘味が同居。そして、余韻も長め。

苦味、という事は食事と合わせると最高なのです。

案の定、しっかりとした味わいの豆煮や、昆布やキノコでしっかり出汁をとったお鍋にぴったり。
開栓して三日も経つと、かなり味わいもまとまり、苦味は上手い具合に甘味と溶け合います。

そうすれば、食事と合わせても、単独で飲んでも、お気の召すままです。余韻は、相変わらず長く、柔らか。

このお酒は…ロシアの作曲家【ラフマニノフ】作曲の【ヴォカリース】を聴きながら飲みたいですね。
ラフマニノフは、作曲した曲で周りからの激しい批判を受け、挫折を味わいながらも復活した作曲家です。

ヴォカリースとは、歌詞を付けずに母音だけで歌われる曲の事で、
フランス語の動詞vocaliser(声にする、声だけで歌う)の命令形 vocalise に由来し、
ソプラノ歌手のアントニーナ・ネジダノーヴァの為に書かれた曲です。

哀愁を帯びて、柔らかく続く歌詞のない歌を聴きながら飲む小左衛門は、
自分がちょっぴり大人になったかもしれない、と思う特別な時間です。

(writer/ヴァイオリニスト 高橋宗久)