2020.3.25

暖かく、美しく、甘く情熱的。-土田 イニシャル K-

キレイな土色のラベル。
その中に小さく金色で「initial K」とプリントされています。

この「K」というのは「knot」結ぶ。と言う意味です。
人の縁はもちろん、食との縁を結びたいという想いが込められています。
イニシャルシリーズは蔵元さんの【チャレンジシリーズ】(裏ロ万や裏ちえびじんの様な感覚でしょうかね)というお話です。

このお酒のポイントは二つ。

・精米歩合90%
・貴醸酒(とある工程で仕込みを水ではなく日本酒で仕込む)

酒米で精米歩合90%というのは、私たちが普段食べているお米の白米の状態です。
貴醸酒というのは、三段仕込みの際の最後の工程で仕込む水を日本酒にする製法のことです。

さて、肝心のお味の方は…
香りは、果実そのもの!
物凄いバナナが。
あれ?いつバナナジュース入れた?

と言うほどとってもジューシー。
香りを嗅ぐだけで幸せの吐息が漏れます。

こうなると、期待が高まるお味の方ですが…
とってもメロン!しかも贈答用のお高い方のメロンです!
熟れたメロンの果肉を「ジャクっ!」と頬張る錯覚に陥ってしまいます。

温度が上がると、後味にカカオニブのような香ばしい味わいも重なってゆきます。
甘さと旨味がバランスよく、尚且つ派手すぎない「煌びやかさ」も持ち合わせているお酒です。

さて、このお酒と一緒に聞きたい曲は…

通常は曲を合わせているのですが、
今回は「演奏家」を合わせてみたいと思います。

ウクライナ出身のヴァイオリニスト【ミッシャ・エルマン】(1891-1967)

青年期にはかの有名な「サラサーテ」の推薦も得て、
一流の音楽学校に入学するほどの実力の持ち主でありました。

エルマンの大きな特徴として挙げられるのが “エルマン・トーン”
情熱的、かつ美しく、とても甘い音色です。

確固たる技術をベースに、情熱的な音と美音を奏でてくれます。

なまじ技術を供えていると
「どうだ、すごいだろー!」と言う技巧一辺倒になりがちですが、
そうではなく、聴いている心を優しく揺さぶるような演奏です。
暖かく、美しく、甘く情熱的。

土田の「Initial K」を飲みながら、
エルマンの心と演奏を聴いている人の心が、時空を超えて結ばれる。

その感覚を味わえることが、とても尊く、美しいと感じます。

(writer/ヴァイオリニスト 高橋宗久)