2019.6.20
- 【音と、】
その人物像に想いを馳せる。-天明 初夏のセメ-
何も情報を入れずに、一口飲んでみる。
不思議なお酒!優しさと激しさが同居しております。
天明らしい味わいと、すぐさま押し寄せる鮎のワタの様な爽やかな苦味!
さてさて、ラベルを見ると、、、春から初夏へ、とあります。
なるほど、春の優しさと初夏の日差しの激しさなのね。と一人で納得。
責めのお酒を初めて頂きましたが、美味しいものですね。
冷やして飲むと、激しさ、苦さはキレッキレ。優しさはほんのりと。
常温だと、優しさが広がる傾向ですね。
お燗にすると、アルコールのピリ感が良いアクセントとなり、たまりません。
このお酒には…とても悩みましたが、ブラームス作曲のヴァイオリン とピアノの為のソナタ第2番は如何でしょう。
メロディーの優しさがあり、リズムの激しさがあり。まさにこのお酒にピッタリ寄り添う曲ではないでしょうか。
何よりブラームスという作曲家は、才能を人から妬まれ、時代に理解されず、批判を受け続け、心が硬い殻に覆われてしまっています。しかし、心の中は、誰よりも情熱があり、優しく、そして思いやる人間なのです。
そんな、ブラームスの人物像にも想いを馳せながら飲む天明初夏のセメは、特別な味がします。
(writer/ヴァイオリニスト 高橋宗久)